とある惑星のとある洞窟に住む兄妹は何やら口論の真っ最中だった。 スコーピオ「だめだ。お前を一人で行かせるわけにはいかない。」 キャンサー「どうして…? 私もうこんなにおおきくなったよ…!」 スコーピオ「まだ独り歩きするには幼すぎる。まして星宮選抜大会だなんて…。」
「星宮選抜大会」とは新たな「星宮」の候補を選び出すための大会。 戦闘力などの様々な能力を測り、ふさわしい者が12体目の星宮となるのだ。 星宮は定員が12宮とされており、これが最後の大会だと噂されていることもあって、 腕に自信のある多くの強者の参加が予想される。 兄と言い争っている少女、「蟹座のキャンサー」はこれに出場したいというのだ。
スコーピオ「危険だ。行かせられない。もしお前の身に何かあったら…」 この男、スコーピオはキャンサーの兄。妹のようにサソリを被った青年のような容姿をしている。 実は彼は11体の星宮の一人で、「天蠍宮」の称号を持っている。 正義感が強く星宮の仕事を誰よりも真面目にこなすが、妹のこととなるとつい過保護になってしまう。
キャンサー「でも、…私だって、いっぱい、特訓したんだよ…?、この大会のために…」 スコーピオ「しかし―」 そうこうしているうちに星宮の仕事のために出かけなくてはならない時間に。 スコーピオ「…とにかく、お前にはまだ早い。家でじっとしているんだ。」 キャンサー「…で、でも、友達と約束しちゃったし…」 スコーピオ「それなら手紙を送って断ればいい。留守番は頼んだよ。」 キャンサーは、これ以上食い下がっても無意味と思ったようだ。 キャンサー「…うん、わかった。…いってらっしゃい。おしごと頑張ってね、お兄ちゃん。」 時計を見やるスコーピオ。急がなくては、と洞窟の外へと駆けて行った。 キャンサー「……。」
ニヤリ
数分後、そこには出発の準備を終えたキャンサーの姿が。 キャンサー「…ごめんね、お兄ちゃん。でもわたし、お兄ちゃんが思っているよりずっと、成長したんだよ…。」 自分の力を試してみたい。少女はその一心だった。
キャンサーの目的は、二人の友達を誘い会場を目指すこと。 まずはその一人が住む、北の森へ。 |