Story 10

 

スコーピオ「キャンサー…。なぜここに君がいるんだ……。」

キャンサー「あぁ…やばい……見つかっちゃった…。」

スコーピオ「人探しをしているところだったのだが、まさか君を見つけることになろうとは…。」

キャンサー「……。」

スコーピオ「キャンサー…お家でお留守番って約束だったよな?」

キャンサー「…う、むうぅ……。」

何も言い返せずうつむく。

3人の視線がキャンサーに向けられ…。

 

キャンサー「…か、かくなる上は…!」

何かを決意したかのようにスコーピオを見つめる。

キャンサー「…ルーパス君!フェニックス君!! いくよ…!」

ルーパス「よおし、まかせとけー! うおー!」

フェニックス「はぁ、マジかよ…。」

キャンサー「…あのお兄ちゃんといえど、3人がかりなら…!」

 

スコーピオ「なるほど、俺を突破しようというのか…面白い。」

不敵な笑みを浮かべるスコーピオ。

スコーピオ「さあ、かかってこい! そして大人しく家へ帰れ、キャンサー!」

 

スコーピオは尻尾の毒針から紫の液体をまき散らす。

四散し地面に付着した毒液は膨らみ、次々とポイズンスライムへと姿を変える。

ポイズンスライムたちはナメクジのように地面を這い、3人を取り囲んでしまった。

スコーピオ「こいつらは燃やせば爆発を起こすタイプの毒液で形成されている。さあ、大人しく降参するんだ。」

フェニックス「なるほど、戦う相手や状況によって扱う毒を変えられるわけか。」

ルーパス「僕にはどんな毒でも関係ないけどー! …素手でしか攻撃できないからね、あはは。」

天井の狭い洞窟で立体的にも退路を断たれ、手も足も出ないルーパスとフェニックス。

 

キャンサー「泡ー!」ブクブク

スコーピオ「な、何ッ!?」

キャンサーのはいた泡は3体のポイズンスライムに命中。

ゲル状の体が薄まり、溶け崩れてしまった。

スコーピオ「想定外だっ! い、いつの間にそんな技を…!」

キャンサー「私だって…成長したんだから…!」

3人はスライムが溶けて毒の水たまりとなった部分を飛び越え逃げ出した。

キャンサー「…お兄ちゃんは足が遅いから、ダッシュで逃げれば大丈夫!」

スコーピオ「ちょ、足が遅いて、おま、…ぐむう。」

スコーピオの毒生成器官を備えたサソリ部分は重く、機動力に欠ける。

というわけで3人はなんとかスコーピオから逃げきることに成功した。

 

キャンサー「…こ、これだけ逃げれば大丈夫かな…。」

膝に手をつきしゃがみ込む。

かなり走ったので少し休憩だ。

 

ルーパス「ところでお兄さん、人探し、って言ってたけど、いったいだれを探していたんだろーね?」

キャンサー「…うーん、わかんない……。」

ルーパス「そっかぁ…。そういえば! 会場の方向は分かったの?」

フェニックス「ああ、この方向をまっすぐ進むと」

ルーパス「進むと?」

フェニックス「でかいキノコがある。」

ルーパス「で、でかい…」

キャンサー「キノコ…?」

フェニックス「それを渡ると」

ルーパス「そ、それを…」

キャンサー「わたる…?」

フェニックス「…お前ら何なんだそのリアクションは。…とりあえず、キノコを渡ると目的地のすぐ近くだ。」

ルーパス「それじゃさっそくキノコのもとへー!」

キャンサー「ごー!」

フェニックス「…はあ、まったくこいつらは…。」

 

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