ルーパス「あった!あれだよね!」 前方の赤いキノコの傘たちを指さすルーパス。 近づいてみると、 キャンサー「…そ、底がみえない……。」 地面に入った大きな亀裂。 その下をのぞき込むと吸い込まれるような闇が沈んでいる。 その闇のそこからからいくつものキノコの長ーい柄が伸びているのだ。 赤いキノコの傘たちが飛び石のように闇に浮かんでいる。 フェニックス「このキノコたちを渡った向こう岸に向かうぞ。」
キノコの上を渡るルーパスとキャンサー。 後ろからフェニックスが飛んでついてくる。 ルーパス「下に落ちたらひとたまりもなさそーだよねー。」 キャンサー「…や、やめてよ、ルーパスくん!」 ルーパス「ふふふところで君たち、この下がどうなっているのか、ご存知かい?」 フェニックス「ああ、凶悪犯罪者が送り込まれる地底監獄になってるんだろ? 通称『奈落の底』。」 ルーパス「あ、うん、そうだね。知ってたかそっか…。」 キャンサー「…ふ、二人ともよくそんなこと知ってるね…物知りだ。」 ルーパス「でへへ」 フェニックス「ルーパス、お前送り込まれないようにしろよ、奈落の底に。」 ルーパス「な、まるで僕がそのうち凶悪犯罪を犯すみたいな言い方じゃないか!」 フェニックス「ん? 違うのか? 今現在すでに要注意人物だと思うが。」 ルーパス「んな、なにをー!?」 キャンサー「ふふ、なかよしだねぇ…。」
ルーパス「到着ー!」 3人は向こう岸にたどり着いた。 フェニックス「会場はこの先だ。」 ルーパス「もう一息だね。」 3人の目の前には広大な森。 この森は今回の星宮選抜大会で会場として使われる。 そして森の奥に見える円筒状の建物が彼らの目指す本会場だ。
空を見上げてきょろきょろ辺りを見回すキャンサー。 キャンサー「…雨が降るかも、雲行きが怪しい…。」 ルーパス「それはまずいね。あの会場も遠いし、雨宿りできるところを探さなきゃ。」 フェニックス「まいったな…。」 3人は森に足を踏み入れ、急ぎ足で進んでいく。 |