Story 20

 

ルーパス「で、結局キャンサーちゃんが勝ったんだね。」

夕飯の席で今日の競技について話す三人。

キャンサー「…結局、最後まで本気出してくれなかったみたいだけど。」

ちら。

フェニックス「俺は自分自身で回復できるからな。本気を出すとお前に勝ち目がないぞ?」

キャンサー「…それでもよかったんだけどな…。」

ルーパス「僕はねー、2回勝てたよ。ドラコって人に負けたんだけど、開始早々場外に投げ飛ばされた。」

フェニックス「お前はちっこくて軽いからな。」

ルーパス「ちっこい言うなー!」

 

次の日。

参加者たちはコロシアムの地下通路をさまよっていた。

第四競技は、この迷宮を利用した迷路。

出来るだけ早く脱出し、地上に戻ってくるというものだ。

 

キャンサー「…うう、みんなどこ……ゴールどこ…。」

ふらふらとさまようキャンサー。

参加者はそれぞれ別の場所からスタートしていて、

ルーパスやフェニックスとはまだ合流できていない。

 

どごーん

少し遠くの方から大きな音が聞こえた。

キャンサー「…? なんだろ…。」

好奇心で、音のする方へ向かおうとする。

???「……イクナ………チカヅク…ナ…」

キャンサー「…? この声、あの時の…?」

???「……イクナ……ニゲロ…」

時の狂った山で聞こえたあの声だ。

キャンサー「…逃、げた方がいいの……?」

ルーパス「あ! キャンサーちゃん見つけたー!」

キャンサー「…ルーパスくん!」

ルーパス「向こうの方で音がしたね。行って見ようよ!」

キャンサーの手を引いて走り出すルーパス。

キャンサー「…え、ちょ、ちょっと…。」

 

一方、音のした現場では、

竜座のドラコと磨羯宮のカプリコーンが対峙していた。

カプリコーン「…君、壁を破壊するのはルール違反だ、と伝えたはずだが?」

土煙にたたずむドラコの眼光は鋭く光っている。

ドラコ「…悪ィなァ…。あいにく、俺様は壊すことしか能がないもんで。」

キッ、とにらみつけるカプリコーン。

カプリコーン「君は失格だ。競技からは中退してもらうよ。」

ドラコ「…そうはいかねぇ。まだ、お仕事が済んでないもんでなァ。」

ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべると、懐から黒い球を取り出す。

ドラコ「ほゥらよォ!」

黄金の台が付いた黒い球を掲げる。

カプリコーン「何をするつもりだ!?」

球が禍々しい閃光を放ち、

黒いぼろ布のようなものが次々と放出された。

カプリコーン「一体、これは…ぐ…。」

バタリ。

カプリコーンは意識を失った。

ぼろ布のモンスター「マントム」に触れたものは強い催眠にかかり、意識を失ってしまうのだ。

 

ドラコ「ちっ、本当は俺様がいたぶってやりたかったが、命令なら仕方ねェか。」

???「よくやった。言いつけは守れるようだな。」

その声の主はいつの間にかドラコの横に現れた、純白のロボット。

翼のようなパーツを持ち、四肢は細く、すらっと背が高い。

ドラコ「馬鹿にするな! えェと、ペガススとか言ったか。次はどうすりゃいいんだ?」

ペガスス「暴れろ。残り二人の星宮をおびき寄せる。そして…」

倒れたカプリコーンに、すっ、と手をかざす。

次の瞬間、カプリコーンの姿は跡形もなく消えてしまった。

ペガスス「大会を運営している星宮全員を『あの方』の元へと送り届ける。」

ドラコ「ふゥん、なるほどねェ。とりあえず俺様はここで暴れてりゃァいいわけだ!」

 

地下通路中に広がるマントムの群れ。

見たことのないモンスターに襲われ倒れるものたち。

その様子を見て逃げ惑うものたち。

 

騒ぎの中、駆け付けたヴァルゴとタウラスも倒され、

ペガススによって「あの方」のもとへ転送された。

ペガスス「目標達成。私は次の作戦へと向かう。あとは勝手にしなさい。」

そういうと、次の瞬間にはペガススの姿も消えていた。

ドラコ「了解。やーっと好き勝手に暴れられるぜェ!」

散々壁をぶっ壊しまくっていたドラコだが、どうやら壁ごときでは満足できないらしい。

ドラコ「さあて、餌食になりたいのはどいつだァ!?」

何か「ぶっ壊すもの」を探す彼の目についた最初の標的は、

ルーパス「何考えてるのか知らないけど、大会を台無しになんかさせないよ! 図体のでかいドラゴン野郎!」

フェニックス「コイツは…。」

キャンサー「…どうして、ドラコさん…。」

いつもの三人。

 

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