Story 27

 

階段を降りた先には大きな扉。

ルーパス「金庫のカギが開いてる。中へ入ろう。」

フェニックスはふと疑問に思う。

フェニックス「ヤツら、中に直接ワープしなかったんだな。」

ルーパス「この金庫には魔法の石があちこちにあるんだ。中では能力が使えないようになっている。」

フェニックス「なるほど。それで中に入れなかったのか。」

フェニックスは少し考え、

フェニックス「俺は入り口に残る。マントムどもが入ってきたとき、誰も能力が使えなかったら全滅だからな。」

見張り役を買って出た。

というわけで、キャンサーとルーパスは金庫の奥へ、

フェニックスは金庫の入り口を見張ることに。

 

金庫の奥へ足を踏み入れるキャンサーとルーパス。

ルーパスもここへ入るのは初めてだ。

足場は金網になっており、下は真っ暗闇。

足を踏み外せば真っ逆さまだ。

ルーパス「姫から聞いた話なんだけど、」

キャンサー「…ん。」

ルーパス「この下は『奈落の底』につながっているらしいよ。」

キャンサー「…えええ。」

「奈落の底」といえば重罪を犯した者のための地底監獄。

王族の金庫に入ること自体がそれほどの重罪ということだろう。

 

二人はリフトに乗って奥へ進む。

このリフト、本来は王族の物以外が乗るとそのまま鎖が外れ下に落ちるのだが、

金庫内に姫がいるためか罠は発動していない。

金庫の壁にはところどころぽっかりと穴が開いており、この奥の部屋が倉庫として使われているようだ。

二人は穴の一つ一つを注意して見ながら、姫を探す。

キャンサー「…それにしても、お馬さんたちは何が目当てなんだろう…。」

ルーパス「…わからないけれど、ここには珍しい魔法の秘宝がたくさんある、らしい。」

ルーパス「それを使って何か悪いことをするつもりなんだよ、きっと。」

 

金庫内の一室にて。

モノケロス「で、どれよ。ボスが欲しがってたものは。」

ペガスス「外見は不明だが、『対象のエレメンタルパワーを奪う秘宝』とのことだ。」

モノケロス「エレメンタルパワー、ってあれか、能力を使うのに必要なエネルギー。」

ペガスス「ああ、我々の力の源だ。これを奪われた者は完全に無力化されてしまう。」

数々の魔法のアイテムが鎮座する棚を物色する二人。

彼らの会話に、アンドロメダ姫の顔色が再び険しくなる。

アンドロメダ「あなたたちが欲しがっている物とは、まさか…。」

モノケロス「お? 知ってんの? どれなのか教えてよ。」

アンドロメダ「しかし、それは悪用されれば大変なことに」

ペガスス「失礼だが、人質がいることを忘れてはいまいか。」

アンドロメダ「…くっ。」

 

姫は棚に歩み寄り、一つのアイテムを手に取った。

卵ほどの大きさの石が、砂時計のような枠にはめられたネックレス。

ネックレスにしてはかなり大振りな上、あまりおしゃれなデザインでもない。

存在感を放つ石は赤、黄、緑、青のマーブル模様で、少々不気味だ。

アンドロメダ「これが恐らく、あなたたちが求めるものでしょう。」

モノケロスは姫の手からそれをむしり取る。

モノケロス「へー、これが。趣味の悪い置物みたいだなー。」

と、ペガススが横から奪う。

ペガスス「あまりべたべたと触るな。目標入手、撤退するぞ。」

 

ルーパス「ちょっと待ったァー!」

キャンサー「…お姫様! やっと見つけた…!」

リフトに乗った二人がフロアから部屋を覗いている。

 

モノケロス「あんたは下がってな、ペガススさん。能力の使えないあんたはただのデリケートマシンだ。」

モノケロスが自信満々の声色で部屋から飛び出す。

ルーパス、キャンサーとモノケロスが対峙する。

ルーパス「腕っぷしなら僕だって負けないぞ!」

キャンサー「…わたしにも、えっと、甲羅があるよ…!」

金網の足場を踏み外せば、暗い闇の底へと真っ逆さま。

そんなデスマッチの火蓋が切って落とされる。

 

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