階段を降りた先には大きな扉。 ルーパス「金庫のカギが開いてる。中へ入ろう。」 フェニックスはふと疑問に思う。 フェニックス「ヤツら、中に直接ワープしなかったんだな。」 ルーパス「この金庫には魔法の石があちこちにあるんだ。中では能力が使えないようになっている。」 フェニックス「なるほど。それで中に入れなかったのか。」 フェニックスは少し考え、 フェニックス「俺は入り口に残る。マントムどもが入ってきたとき、誰も能力が使えなかったら全滅だからな。」 見張り役を買って出た。 というわけで、キャンサーとルーパスは金庫の奥へ、 フェニックスは金庫の入り口を見張ることに。
金庫の奥へ足を踏み入れるキャンサーとルーパス。 ルーパスもここへ入るのは初めてだ。 足場は金網になっており、下は真っ暗闇。 足を踏み外せば真っ逆さまだ。 ルーパス「姫から聞いた話なんだけど、」 キャンサー「…ん。」 ルーパス「この下は『奈落の底』につながっているらしいよ。」 キャンサー「…えええ。」 「奈落の底」といえば重罪を犯した者のための地底監獄。 王族の金庫に入ること自体がそれほどの重罪ということだろう。
二人はリフトに乗って奥へ進む。 このリフト、本来は王族の物以外が乗るとそのまま鎖が外れ下に落ちるのだが、 金庫内に姫がいるためか罠は発動していない。 金庫の壁にはところどころぽっかりと穴が開いており、この奥の部屋が倉庫として使われているようだ。 二人は穴の一つ一つを注意して見ながら、姫を探す。 キャンサー「…それにしても、お馬さんたちは何が目当てなんだろう…。」 ルーパス「…わからないけれど、ここには珍しい魔法の秘宝がたくさんある、らしい。」 ルーパス「それを使って何か悪いことをするつもりなんだよ、きっと。」
金庫内の一室にて。 モノケロス「で、どれよ。ボスが欲しがってたものは。」 ペガスス「外見は不明だが、『対象のエレメンタルパワーを奪う秘宝』とのことだ。」 モノケロス「エレメンタルパワー、ってあれか、能力を使うのに必要なエネルギー。」 ペガスス「ああ、我々の力の源だ。これを奪われた者は完全に無力化されてしまう。」 数々の魔法のアイテムが鎮座する棚を物色する二人。 彼らの会話に、アンドロメダ姫の顔色が再び険しくなる。 アンドロメダ「あなたたちが欲しがっている物とは、まさか…。」 モノケロス「お? 知ってんの? どれなのか教えてよ。」 アンドロメダ「しかし、それは悪用されれば大変なことに」 ペガスス「失礼だが、人質がいることを忘れてはいまいか。」 アンドロメダ「…くっ。」
姫は棚に歩み寄り、一つのアイテムを手に取った。 卵ほどの大きさの石が、砂時計のような枠にはめられたネックレス。 ネックレスにしてはかなり大振りな上、あまりおしゃれなデザインでもない。 存在感を放つ石は赤、黄、緑、青のマーブル模様で、少々不気味だ。 アンドロメダ「これが恐らく、あなたたちが求めるものでしょう。」 モノケロスは姫の手からそれをむしり取る。 モノケロス「へー、これが。趣味の悪い置物みたいだなー。」 と、ペガススが横から奪う。 ペガスス「あまりべたべたと触るな。目標入手、撤退するぞ。」
ルーパス「ちょっと待ったァー!」 キャンサー「…お姫様! やっと見つけた…!」 リフトに乗った二人がフロアから部屋を覗いている。
モノケロス「あんたは下がってな、ペガススさん。能力の使えないあんたはただのデリケートマシンだ。」 モノケロスが自信満々の声色で部屋から飛び出す。 ルーパス、キャンサーとモノケロスが対峙する。 ルーパス「腕っぷしなら僕だって負けないぞ!」 キャンサー「…わたしにも、えっと、甲羅があるよ…!」 金網の足場を踏み外せば、暗い闇の底へと真っ逆さま。 そんなデスマッチの火蓋が切って落とされる。 |