Story 37

 

頭のカニが何故か小さくなってしまったキャンサー。

おまけに、あたり一面瓦礫の山で誰も見当たらない。

途方に暮れて頭を抱える。

キャンサー「…お兄ちゃん…みんな…どこ…?」

怖くて、心細くて、思わずしゃがみこんでしまう。

昨日までの勇気と自信にあふれた姿はどこへやら。

頭のカニだけでなく、気も小さくなってしまったようだ。

 

すると突然、

???「みいつけた!」

キャンサー「ひッ…!?」

キャンサーの背後から少女の声。

恐るおそる振り返るとそこにいたのは、四肢がパイプでできたモノアイロボ娘な見た目の小柄な少女。

???「あなたがカニのキャンサーちゃんね! サーベラスさまがさがしていたわ!」

キャンサー「…! あなたも敵なの…!?」

どうやらこいつも敵の一味のようだ。

ターゲットを見つけた喜びでテンション爆上げだ。

???「やったわ! この海蛇座のハイドラちゃんのおてがらだわ! ふふーん!」

大はしゃぎでキャンサーにとびかかろうとするも、瓦礫につまずいて派手に転んでしまった。

キャンサー「…だ、大丈夫…?」

伸びた姿を見て、敵ながらちょっと心配。

ハイドラ「ふえ…ぐすん…!」

キャンサー「…えっ」

ハイドラ「ぴええええええん!」

キャンサー「泣いちゃった…」

そんなハイドラの号泣を聞きつけ現れたのは。

???「誰だァ!? 人の姉を泣かせたやつはァ!!」

彼は「水蛇座のハイドラス」。

円筒形の水槽に何本かパイプをはやしたような奇妙な外見だ。

パイプを使って飛び跳ね、威勢よく登場。

ハイドラス「オレの大事な姉貴に手を出すやつは許さねェ! お前かァ!!」

キャンサー「お兄ちゃんにそっくりだ…。」

兄弟に対する過保護な感じ、身に覚えしかない。

 

追われるキャンサー。追う蛇姉弟。

熾烈な追跡戦の末、川に架かった橋の上にて遂に均衡が崩れる。

キャンサー「…こ、こないでー!」

キャンサーの泡攻撃!

弟ハイドラスはこれを難なく回避。

ハイドラス「当たると思ったかーッ!」

外れた泡は床に命中。

丁度その場所にハイドラスが着地する。

すると偶然にも足場が崩壊!

ハイドラス「しまった!この足場、湿って脆くッ!!」

瓦礫の足場が泡でふやけて壊れやすくなっているところに、運悪く着地してしまったのだ。

咄嗟に背中に乗っけている姉のハイドラを投げ飛ばして助ける機転を利かせるも、

ハイドラス「グワーッ!!姉貴ーッ!!」

シスコン丸出しの絶叫とともに川へ落っこちてしまった。

 

キャンサー「…え。」

なんだか良く分からないうちにコンビの片割れを撃破したキャンサー。

あまりのミラクルに自分でもびっくりしている。

一方、残された姉の方はというと。

ハイドラ「ぴぃ…かわいいおとうとが…ハイドラちゃんのおとうとが…。」

滂沱。戦意喪失。

ハイドラ「ぐすっ、もうむりよ、おわりだわ…。」

キャンサー「……。」

ハイドラ「あのこがいなかったら、ハイドラちゃんは…ハイドラちゃんは…。」

キャンサー「…。」

いたたまれない。

 

キャンサーも思うところがあるのか、意を決して、

キャンサー「…あの、なんかごめんなさい…弟さんのこと大好きなんだね…。」

ハイドラ「ぐすぐす、ふええん。」

キャンサー「…ね、あの、川に落っこちちゃっただけだからさ、きっと無事だよ、ね?」

ハイドラ「ぐすっ、えぐっ。」

キャンサー「…まだそんなに流されてないだろうし、弟さん、一緒に探そ?」

ハイドラ「ぐすっ、…うん、さがす。ずびび。」

そんなわけで、二人は流されたハイドラスを探し始めた。

 

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