Story 38

 

一方で、顔を合わせている二人がいた。

キャメロパルダリス「君もよ~く知っているだろう?我らがマスター、サーベラス様の無念を。」

フェニックス「…ああ。」

キャメロパルダリス「マスターは孤独だった。故に力を振るうことでしか生きられなかった。」

キャメロパルダリス「その結果、天蠍宮と当時の巨蟹宮に目を付けられた。」

天蠍宮とはキャンサーの兄、スコーピオのことだ。

そして当時の巨蟹宮とは。

キャメロパルダリス「そう!一矢報いるも星宮たちの増援、多勢に無勢で敗れ去ってしまった。」

まるで悲劇を語るかのように、その口調には熱が入る。

キャメロパルダリス「地下監獄に幽閉されたマスターは屈辱に耐え機を窺ったそして!」

キャメロパルダリスはフェニックスの鼻先まで顔を近づける。

キャメロパルダリス「遂に脱獄した。口封じに看守たちを、他の囚人諸共焼き尽くしてね。」

キャメロパルダリスはフェニックスから身を引き天を仰ぐ。

キャメロパルダリス「その後仲間を募った。似た境遇にある、恨みで生きている者たちを。」

キャメロパルダリスは…次からキャメロでいいっすか。

キャメロパルダリス「それこそが僕や君。マスターの復讐こそが僕らの生きる道なのさ。」

キャメロは大仰に腕を広げる。

キャメロパルダリス「全ては憎き星宮への、特にあの蟹女の愚妹と蠍男への復讐のため!」

演劇のクライマックスかのごとくヒートアップ。

ところで、「愚妹」は自分の妹をへりくだって紹介するときの表現ですよ?^^

 

キャメロパルダリス「ところがどうだい、君というものは。」

つめたい口調に変わる。

キャメロパルダリス「標的とつるんで仲良しごっこ?挙句に絶好の機会で仕留め損ねるときた。」

お、キレた?

キャメロパルダリス「彼女の硬さならあの高さから落としても無事だと分かってやったろう?」

キャメロパルダリス「マスターは純粋に任務を失敗したと思っておられる。コケにしてくれる…!」

おうおう鼻息が荒いねぇ。

キャメロパルダリス「それでも君はマスターから大きな信頼を受けている。この僕を差し置いて!」

フェニックス「…なるほど、そういう話か。」

呆れたように溜息を吐くフェニックス。

キャメロパルダリス「許されない、許されてたまるものか、マスターをだまして。」

キャメロパルダリス「僕が一番マスターに忠実で有能なんだ!お前なんか、お前なんか…」

キャメロパルダリス「土に還るがいい!!」

 

キャメロから黄金のオーラが鼻垂れ…放たれる。

フェニックス「なんだ、やる気か?」

ゲームの演出とかでよくみる宙を舞う瓦礫。

刹那、キャメロの元へ瓦礫たちが、その体をぺちゃんこにせんばかりの勢いで密集する。

これで潰れて自滅してたら最高にダサくて最高だったけど、残念ながらそんなことはなく。

岩を砕いて中から現れたのは、ぎらついた黄金のたてがみを持つ漆黒の獣。

キャメロパルダリス「安心するといいよ。マスターには裏切り者を処理したと伝えておくから。」

フェニックス「処理されたのはお前の方だったな。」

多少苦戦したものの、軍配はフェニックスの方へ上がった。

キャメロパルダリス「バカな…星宮の力を使ったんだぞ…それがこんな奴に…!」

フェニックス「所詮は借り物の力ということだな。」

キャメロパルダリス「く…。」

歯噛みするキャメロ。悔しそうだねえ。

キャメロパルダリス「…く…ククク…ハアーハッハア!」

かと思えば狂ったように笑いだす。

フェニックス「笑えるな、あまりにも無様すぎて。」

キャメロは地に転がったまま気味の悪い笑みを浮かべる。

キャメロパルダリス「お前はもうお終いだ!」

次の瞬間、サーベラスが現れた。

 

キャメロパルダリス「コイツだ、コイツが裏切り者だ!」

喜々として報告。

キャメロパルダリス「マスター、コイツはあのカニ女に情が移ったんですよ!」

サーベラス「落ち着け。」

サーベラスはフェニックスへ問いかける。

サーベラス「これはお前がやったのか。」

フェニックス「ああ、俺を蹴落としたかったらしい。」

キャメロパルダリス「騙されないでくださいマスター!コイツを信用してはいけない!」

サーベラス「キャメロ。」

キャメロパルダリス「ひっ!…はい?」

恐る恐る聞き返す。

サーベラス「嘘つきの裏切り者は排除すべきだと、そう言いたいのか。」

キャメロパルダリス「はいぃ!もちろん、おっしゃる通りでございますとも!」

サーベラス「つまりお前が虚言を吐いているのだとすれば当然…。」

キャメロパルダリス「そ、そんなこと!万に一つもございません!…がっ!?」

サーベラスはキャメロパルダリスを気絶させた。

サーベラス「フェニックス。…分かっているな?」

フェニックスは振り返ってキッと睨む。

敵を嗅ぎつけ、今この場へとやってきたルーパスを。

ルーパス「なに話してたのさ…そいつ、敵でしょ?」

 

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