塔を登るキャンサーとフェニックス。 襲い掛かるトラップをかわしつつ上を目指す。 キャンサー「…ルーパスくんの体、置いてきちゃったけど大丈夫かな…。」 フェニックス「まあ、大丈夫だろ、たぶん。」 キャンサー「…た、たぶんって…。」 フェニックス「それより心配なのはあいつの魂の方だ。無事に取り返せるといいが。」 進むペースも自然と早くなる。
キャンサー「いた!」 ???「む、ここまで登ってくるとは! 流石といったところかな。」 謎のロボットを睨むキャンサーとフェニックス。 フェニックス「さて、ルーパスの魂は返してもらうぞ。力ずくでも奪い返す!」 じりじりと迫る二人。 ???「おや、レディに向かって高圧的な態度とは、いただけないねえ?」 キャンサー「…女の子だったんだ…。」
ゴゴゴゴゴゴゴ…… 突然の地響き。 床が持ち上がり、壁が下へと流れていく。 近づいてきた天井が開き、 キャンサー「…あれ、外に出た?」 塔の頂上へと到着。
雨はすでに止んでいるが、満天の星空だ。 ロボットのすぐ後ろには何やら古めかしい祭壇。 彼女はそれにふわりと腰掛けた。 ???「自己紹介がまだだったね。」 足を組んで決めポーズ。 ???「ボクは祭壇座のアラ。…アラちゃん、もしくはアラ様とお呼びなさあい!」 キャンサー「…あら、かわいいお名前。」 フェニックス「そうか…? お前の好みはよく分からん…。」 アラ「この塔の祭壇に祀られている、たいへん尊ーいロボ娘様なのだ!」 ビシィッ、っと決めポーズ。 キャンサー「…ツルっとしたボディに、ピンクに光るライン…。あこがれちゃうなあ…ぞくぞくしちゃうなあ…。」 フェニックス「……。お前の好みはホントに分からん…。」 アラ「ちょ、ちょいと、ボクの話聞いてる?」
フェニックス「作戦はこうだ。俺は後ろから炎で援護する。」 キャンサー「…ふむふむ。」 フェニックス「お前はなぜか魂を抜き取れないらしいから直接突っ込め。」 キャンサー「りょーかい!」 アラ「話は済んだかーい? ま、何を企んだって僕にはかなわないだろうけどね。」 フェニックス「何も企んじゃいないさ。小細工なしであんたを倒す。」
放たれる炎の弾丸。 華麗にかわしたアラにカニハサミチョップがせまる。 アラ「ふふん、そんな軽いキチンの装甲でかなうと思ったかい?」 キャンサー渾身の一撃を片手で受け止めてしまった。 キャンサー「…な、なぜキチンのことを…。」 アラ「甲殻類の甲羅はたいていキチン質で出来ている。常識さ。」 ドヤ顔。表情ないけど。
フェニックス「ところでてめえ、なぜルーパスの魂を奪った? 何を企んでる?」 飛んできた炎と泡を両手で弾き飛ばすアラ。 アラ「少し難しい話だがね、魂というのは常にエネルギーを発している。俗にいうオーラというやつかな?」 突っ込んできたキャンサーをふわりとよける。 アラ「ボクはそのエネルギーを原動力としている。魂そのものが必要なわけじゃないんだ。」 アラ「この塔には定期的に生贄がささげられている。本当はそれで事足りるのだけれど…、」 背後から突っ込んできたキャンサーを今度はかがんで避け、 アラ「死にかけたモンスターの魂ばかりは飽きがくる。」 再び祭壇に足を組んで座る。 アラ「たまには強くてみずみずしい魂が恋しくなっちゃうのさ。」 フェニックス「そ、そんな理由で…。」 アラ「そろそろ、この魂の力を解放してみようか。」 どこか楽しそうな口調だ。 フェニックス「何をするつもりだ…?」 それっぽい構え。 アラ「さあ、見るがいい! これが魂の力だ!!」 |