Story 13

 

塔を登るキャンサーとフェニックス。

襲い掛かるトラップをかわしつつ上を目指す。

キャンサー「…ルーパスくんの体、置いてきちゃったけど大丈夫かな…。」

フェニックス「まあ、大丈夫だろ、たぶん。」

キャンサー「…た、たぶんって…。」

フェニックス「それより心配なのはあいつの魂の方だ。無事に取り返せるといいが。」

進むペースも自然と早くなる。

 

キャンサー「いた!」

???「む、ここまで登ってくるとは! 流石といったところかな。」

謎のロボットを睨むキャンサーとフェニックス。

フェニックス「さて、ルーパスの魂は返してもらうぞ。力ずくでも奪い返す!」

じりじりと迫る二人。

???「おや、レディに向かって高圧的な態度とは、いただけないねえ?」

キャンサー「…女の子だったんだ…。」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ……

突然の地響き。

床が持ち上がり、壁が下へと流れていく。

近づいてきた天井が開き、

キャンサー「…あれ、外に出た?」

塔の頂上へと到着。

 

雨はすでに止んでいるが、満天の星空だ。

ロボットのすぐ後ろには何やら古めかしい祭壇。

彼女はそれにふわりと腰掛けた。

???「自己紹介がまだだったね。」

足を組んで決めポーズ。

???「ボクは祭壇座のアラ。…アラちゃん、もしくはアラ様とお呼びなさあい!」

キャンサー「…あら、かわいいお名前。」

フェニックス「そうか…? お前の好みはよく分からん…。」

アラ「この塔の祭壇に祀られている、たいへん尊ーいロボ娘様なのだ!」

ビシィッ、っと決めポーズ。

キャンサー「…ツルっとしたボディに、ピンクに光るライン…。あこがれちゃうなあ…ぞくぞくしちゃうなあ…。」

フェニックス「……。お前の好みはホントに分からん…。」

アラ「ちょ、ちょいと、ボクの話聞いてる?」

 

フェニックス「作戦はこうだ。俺は後ろから炎で援護する。」

キャンサー「…ふむふむ。」

フェニックス「お前はなぜか魂を抜き取れないらしいから直接突っ込め。」

キャンサー「りょーかい!」

アラ「話は済んだかーい? ま、何を企んだって僕にはかなわないだろうけどね。」

フェニックス「何も企んじゃいないさ。小細工なしであんたを倒す。」

 

放たれる炎の弾丸。

華麗にかわしたアラにカニハサミチョップがせまる。

アラ「ふふん、そんな軽いキチンの装甲でかなうと思ったかい?」

キャンサー渾身の一撃を片手で受け止めてしまった。

キャンサー「…な、なぜキチンのことを…。」

アラ「甲殻類の甲羅はたいていキチン質で出来ている。常識さ。」

ドヤ顔。表情ないけど。

 

フェニックス「ところでてめえ、なぜルーパスの魂を奪った? 何を企んでる?」

飛んできた炎と泡を両手で弾き飛ばすアラ。

アラ「少し難しい話だがね、魂というのは常にエネルギーを発している。俗にいうオーラというやつかな?」

突っ込んできたキャンサーをふわりとよける。

アラ「ボクはそのエネルギーを原動力としている。魂そのものが必要なわけじゃないんだ。」

アラ「この塔には定期的に生贄がささげられている。本当はそれで事足りるのだけれど…、」

背後から突っ込んできたキャンサーを今度はかがんで避け、

アラ「死にかけたモンスターの魂ばかりは飽きがくる。」

再び祭壇に足を組んで座る。

アラ「たまには強くてみずみずしい魂が恋しくなっちゃうのさ。」

フェニックス「そ、そんな理由で…。」

アラ「そろそろ、この魂の力を解放してみようか。」

どこか楽しそうな口調だ。

フェニックス「何をするつもりだ…?」

それっぽい構え。

アラ「さあ、見るがいい! これが魂の力だ!!」

 

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