Story 15

 

き、キサマぁ…

     …お兄ちゃん?

ぐはあああ!

     …どうして戦っているの? …どうして、傷だらけなの?

よくも…よくも俺の妹をおおおおっ!

     …わたし? わたしが、どうか、したの?

うあああああくたばれええええええええええ!

     …泣かないで、お兄ちゃん …わたしは、わたしはここに…

 

ルーパス「朝だぞーっ!!!!キャンサーちゃん起きろーっ!!!!!!!」ガンガンガン

キャンサー「うわああああああああああ!?!?!?!?!?」

耳元の騒音に跳ね起きた。

フェニックス「朝から騒々しいな。」

ルーパス「おや、フェニックス君はもう起きてたんだね。」

ルーパスの両手にはそれぞれフライパンとおたまが握られていた。

キャンサー「…もっと、ふつうに起こしてよお…。」

フライパンの使い方についてなにやら言い合っている二人をよそに、

キャンサー「…なんだか、ヘンな夢みちゃったな…。」

ぽつりとつぶやいた。

 

星宮選抜大会の会場となっているのは石造りの遺跡。

地上はコロシアムのような建造物。

地下は迷路が立体的に入り組んでいる。

その最奥に何があるのか、現在も調査中だそうだ。

そんな神秘のミステリースポットに「ぴんぽんぱんぽーん」と電子音が鳴り響く。

 

アナウンス「まもなく開会の時間です。参加者は速やかにコロシアムに集まること。」

キャンサー「…いよいよだね…。」

ルーパス「算数のテストとかありませんように!」

 

姿かたちの個性的な大会参加者たちがコロシアムに集まった。

その数39名。

参加権を持つものは(88-12=)76人いるとされているので、

その半分ほどが集まったことになる。

 

ルーパス「あの厳つい人強そう! ぜひ力比べしてみたいね。」

キャンサー「…あ、アラちゃんだ。」

フェニックス「…。」

がやがやとしていた参加者たちだったが、

???「集まったようだね!」

その声とともにしんと静まり返る。

ルーパス「ん、どした。」

キャンサー「しっ!」

大きく長い角をはやし、全身には白い体毛。

青いマントで全身をまとった者が入場口から現れた。

???「この大会の実行委員長をおしつけられt…任命された磨羯宮のカプリコーンだ。」

勇ましくも艶のある声が響く。

ちらっと手元の紙を見て、

カプリコーン「…ええと、…開会式は…省略。それではさっそく第一競技を始める。」

ルーパス「なにかななにかな? 算数のテストはヤだな。」

 

《第一試験 宝探し》

遺跡の周りの森に無数の「ボール」が隠されている。

それをできるだけ早く5つ集めてコロシアムまで戻ってくること。

ゴールまでのタイムや順位だけでなく、

競技中の行動なども成績の評価対象となる。

ボールは全員がゴールするのには十分なほど用意。

制限時間は日が落ちるまで。

他人からボールを奪うのはOK。

ただし、ボールを1つでも破壊するとそこで失格。この競技から除外される。

 

カプリコーン「以上だ! それでは始めるぞよーいどぉん!」

ルーパス「いきなりかよ!」

フェニックス「ぼさっとしてると後れを取るぞ。行こう。」

キャンサー「…思ってたのとちょっと違う…。」

ルーパス「確かに。運動会かレクリエーションみたいだね。」

フェニックス「最初だしこんなものだろう…さて、」

3人はそれぞれ別の方向へ走り出す。

果たして、彼らは最初の試練をクリアできるのか?

 

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