アラは青い光に包まれた。 キャンサーやフェニックスにも目視できるほど強大なオーラをまとったのだ。 やがてそのオーラはとあるシルエットをかたどる。 キャンサー「…おおかみ…。」 フェニックス「ルーパスの魂から力を得ているのか…?」 アラの体のピンクのラインも徐々に青く変色。 アラ「いくぞー。」 次の瞬間、彼女はフェニックスの眼前にいた。 フェニックス「速いっ!?」 フェニックスは床に蹴り落とされた。 アラ「この魂…、なかなかに荒々しいねえ…!」 フェニックス「ヤツにルーパスの瞬発力が加わって……動きが見えなかった…!」 なにか突破口を見つけなくては…。
アラ「ふははははお次はキミだ!」 キャンサー「きゃー!」 アラ「おおかみぱーんち!」 うずくまるキャンサー。
???「そのあたりにしないか!」 突然制止する声が。 キャンサー「……?! …誰…?」 塔の屋上に何者かが降り立った。 上半身は人、下半身は馬。 精悍な顔つきの男で、ぐったりした野生のモンスターを抱えている。 アラ「はあ、なんだキミか…。面白くないのー。」 ???「がっかりされても困る。ほら、生贄を持ってきてやったぞ。」 アラ「キミはもうちょっとボクを敬えよなー。このアラ様だぞー。」 どうやらアラとは顔見知りらしい。 と、男は思い出したかのようにキャンサーとフェニックスの方を向き、 ???「失礼、自己紹介が遅れたね。私はケンタウルス。ケンタウルス座の称号を持っている者だ。」 自己紹介。 キャンサー(お名前と称号がもろかぶりなのは触れないでおこう…。) ケンタウルス「兄に代わって彼女に生贄を持ってきたところだ。」 フェニックス「兄? …ああ、サジタリウスのことか。」 キャンサー「サジ…えと、どなた?」 フェニックス「星宮の一人で、こいつみたいに半人半馬の男だ。」 キャンサー「ほえー…物知りだね…。」 ケンタウルス「今時期は何かと忙しいからな。私も公務の手伝いをしているのだ。」 アラ「オニーチャンの方が来てくれればまだマシだったのに。キミじゃあ物足りないな。」 ケンタウルス「また『味見』とやらか? 今回はこれで我慢しろ。」 抱えた獲物を祭壇に放り投げる。 アラ「だー! やはりキミにはボクの尊さを思い知らせてあげた方がいいみたいだね…。」 ケンタウルス「ところで、あの子たちにちょっかいをかけていたようだが?」 アラ「ちょっと魂を借りてただけさ。」 ケンタウルス「お前がトラブルを起こせば困るのは兄なんだ。今すぐ返してやれ。」 アラ「やあなこった! 何故キミ如きの命令を聞かなければならない!? 態度もでかいし!」 ケンタウルス「…兄に頼んで主電源を切る許可をもらうか。」 アラ「む、うぅ…。 わかったよ! 返せばいいんでしょー! ふん!」 キャンサー(電源切られるの嫌がってる…ロボットらしい…。) フェニックス(星宮に公務として生贄を持ってこさせる…こいつ、何者なんだ…?)
塔の1Fフロア。 キャンサー「…ルーパスくん、目は覚めた?」 ルーパス「う、うんにゃあ…? あれ、僕は一体…。」 アラ「いやあ、キミの魂、なかなかに美味だったよ。少しばかり癖が強かったが。」 ルーパス「な、何の話!? てか、あんた誰!?」 ケンタウルス「このポンコツロボの無礼を詫びさせてくれ。」 アラ「ポンコツ具合でいえばキミの方が上なんじゃないか。」 キャンサー「…よかった、魂、ちゃんと元通りみたいだね。」 ルーパス「た、魂…? いったい何の話をしているんだ…?」
キャンサー「…ところで、アラちゃんは大会には出るの? …ナントカ座、って言ってたけれど。」 アラ「でるよ。正直面倒くさいんだけど、出ろ出ろとうるさいんだ。…おっとこれ以上は極秘機密だったか。」 フェニックス「お前…、いったい何者なんだ?」 アラ「いったはずだぞ。この塔の祭壇に祀られている大変尊いロボ娘さま、祭壇座のアラ様だ!」 決めポーズ。
3人はアラと別れ大会会場へ。 (塔で寝泊まりしようとキャンサーが提案したが、フェニックスの猛反対で却下となった。) ケンタウルスが夜の森を道案内。 会場に着くころには空はうっすら明るくなり始めていた。 参加登録を済ませ、参加者用の控室を借りた3人。 日の出のころには皆深い眠りに落ちていた。 結局この3人は、2日後の開会式の日までぐっすり寝ることになる。 疲れも取れて完全復活絶好調な3人は、 ついに実力者の集う星宮選抜大会へ挑戦するのだ。
???「準備は万端だろうな。」 ???「もちろんだ! …ククク、たぎってきた…ウズウズしてきたぜ…!」 ???「…早まるな。タイミングはこちらが指示する。それまでは大人しくしていろ。」 ???「わーかってるよォ! …ただ、あまり焦らすと承知しないからなァ?」 ???「こちらも出来るだけ早く準備を整える。そして時が来たなら…」 ???「派手に大暴れィ!、だな? まかせろ! 超得意分野だぜ!」 ???「そこを買ったのだ。…私のためにその力を存分に活かしてくれ。」
第2章 完 |