Story 17

 

コロシアム1階の屋内部屋の一角。

星宮選抜大会実行委員会室に闖入者が。

アラ「やっほーー!! やってるぅーー!?」

室内の全員からの鋭いまなざし。

カプリコーン「…おい、何しに来た。ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!?」

業務が忙しいのか、キレるカプリコーン。

アラ「そんなに怒らなくてもいいじゃないかー。それに、」

くるっとターン。

アラ「ボクだって一応、そっち側の者、じゃないのかね?」

カプリコーンはやれやれと肩を落とす。

カプリコーン「…確かに君は我々に協力してもらってはいるが…、しかし今は競技中だ。」

入り口をキッと指さす。

カプリコーン「すぐに競技に戻れ。キミとの関わりはあくまで機密事項なんだ。」

アラ「ちぇーつまんないのー。ちょっとぐらい付き合ってくれてもいーのにさー。」

そう言うと、ふわりと飛んで、

アラ「また来るねー! それじゃ。」

ドギュンと部屋から出て行った。

その様子を怪訝そうに見ていた大会実行委員の一人、

魔女のような恰好をした少女、「処女宮のヴァルゴ」はつぶやいた。

ヴァルゴ「何しに来たのよ、アイツは…。」

 

一方そのころキャンサーはというと、

オフューカス「ふははは! サーペンス! 俺様が特別に調合してやったとっておきのをお見舞いしてやれ!」

大人げない大人に追い詰められてしまっていた!

あらゆる毒の知識があるオフューカス。

そしてどんな毒でも作り出し、吐き出して攻撃するサーペンス。

二人はまさに最強のコンビなのだ。

 

サーペンス「うるせえ! テメーに命令される覚えはねえよ!!」

…あれ?

オフューカス「ああん? テメーのアタマじゃ、せいぜい火傷程度の毒しか作れないだろうが?」

あれれ。

サーペンス「キサマはすぐそうやって自慢を始めるな! あくまで毒を撃つのは俺だ!」

ちょっと君たち。

オフューカス「はん! 俺様の指揮がなくてその毒を扱えるのかなあ?」

サーペンス「そもそもキサマ一人じゃ毒を作ることもできないだろうが!」

オフューカス「この作戦を考えたのが俺様だということを忘れているようだな、このにょろにょろ野郎!」

サーペンス「はい出たインテリ気取り。 そのぐらい俺にでも考え付くわい!」

前言撤回。

最悪のコンビでした。

 

と、大人げない言い争いをしていたところで、なにかに気付いた二人。

上を見上げると…

サーペンス「岩ーッ!?!?」

オフューカス「てめ、俺様の盾になれ! って、うぎゃあああ!!!」

二人仲良く、落ちてきた大きな岩の下敷きに。

キャンサー「どーだー! まいったかー!」

キャンサーが崖の上から二人の頭上に岩を落としたらしい。

言い争いに夢中だった医者と蛇は、相手が崖を登っていたことに気付かなかったようだ。

オフューカス「ば、ばたんきゅ~。」

 

キャンサー「…あの、今度こそ、本当の会場の方向を教えてほしいんですけど…。」

オフューカス「あ、あの方向、だ…。」

ばたり。

力尽きたようだ。

キャンサー「…なんか、ごめんなさい…。…ありがとうございます。」

自分をだまして襲い掛かってきた相手でも、謝罪と感謝は忘れない。

二人も見習うべきだ。

 

その日の夜。

ルーパス「いやー! なんとか日が沈む直前にゴールできたよー。ひやひやした。」

フェニックス「俺とキャンサーはかなり余裕を持って帰ってきたがな。」

ルーパス「んな! …早くも後れを取ってしまった。」

 

キャンサー「…やっぱり私たち、3人そろって行動した方がいいと思う…。」

晩御飯のシチューを食べる中、

キャンサーの唐突な発言に二人も少し驚く。

キャンサー「…みんながいてくれてたら、怪しい人に騙されずに済んでたかも…。」

ルーパス「僕も! 岩の隙間に挟まって時間とっちゃってさー。思わず二人の名前を叫んじゃった。」

フェニックス「いつもはお前らが先陣を切ってくれるが、今日は一人だから火を使いすぎて疲れた。」

キャンサー「…次、こういう競技があったら、きっといっしょに行動しよう…?」

ルーパス「そうだね。僕らはベストコンビネーションだもの!」

フェニックス「別に俺はお前らと組むのがベストとも思わんが。」

キャンサー(あの二人に比べたら…とっても抜群の相性だよ…。)

 

次の日。

再びコロシアムに集合した参加者たち。

キャンサー「…今日は何をするんだろう?」

ざわつく参加者たち。

すると突然、空から雷が!

ルーパス「うわああ!?」

落雷地点に燃え盛る炎。

火が掻き消え、その中から登場したのは…

ヴァルゴ「どもどもー! 大会実行委員のヴァルゴでーす☆」

 

それでは早速、とルール説明。

 

《第二試験 氷鏡の回廊》

参加者は4グループに分かれ、グループごとに「回廊」の中へ入ってもらう。

その回廊からできるだけ早く脱出すること。

グループ全員が脱出したところでゴールとみなす。

回廊には魔法の仕掛けが施されている。心して挑むこと。

なお、回廊内は火気厳禁。天井が落ちてくる危険あり。

 

ヴァルゴ「以上! それでは皆さん、グループ分けしてくださいな。」

ぞろぞろと参加者たちが動き出し4つの塊ができる。

ルーパス「ようし! 力を合わせて頑張るぞー!」

キャンサー「おー!」

フェニックス「お前ら当然のごとく同じグループに入るんだな。」

アラ「そういうキミだって、真っ先にあの二人についていったじゃあないか?」

フェニックス「げ、お前もいるのか…勘弁してくれ。」

アラ「どのグループに入ろうが僕の自由さ、ふふん♪」

キャンサー「…アラちゃんも、一緒にがんばろうね。」

アラ「おー♪」

フェニックス「…やれやれ。」

 

 ← stage2   stage3 → inserted by FC2 system

戻る