コロシアム1階の屋内部屋の一角。 星宮選抜大会実行委員会室に闖入者が。 アラ「やっほーー!! やってるぅーー!?」 室内の全員からの鋭いまなざし。 カプリコーン「…おい、何しに来た。ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!?」 業務が忙しいのか、キレるカプリコーン。 アラ「そんなに怒らなくてもいいじゃないかー。それに、」 くるっとターン。 アラ「ボクだって一応、そっち側の者、じゃないのかね?」 カプリコーンはやれやれと肩を落とす。 カプリコーン「…確かに君は我々に協力してもらってはいるが…、しかし今は競技中だ。」 入り口をキッと指さす。 カプリコーン「すぐに競技に戻れ。キミとの関わりはあくまで機密事項なんだ。」 アラ「ちぇーつまんないのー。ちょっとぐらい付き合ってくれてもいーのにさー。」 そう言うと、ふわりと飛んで、 アラ「また来るねー! それじゃ。」 ドギュンと部屋から出て行った。 その様子を怪訝そうに見ていた大会実行委員の一人、 魔女のような恰好をした少女、「処女宮のヴァルゴ」はつぶやいた。 ヴァルゴ「何しに来たのよ、アイツは…。」
一方そのころキャンサーはというと、 オフューカス「ふははは! サーペンス! 俺様が特別に調合してやったとっておきのをお見舞いしてやれ!」 大人げない大人に追い詰められてしまっていた! あらゆる毒の知識があるオフューカス。 そしてどんな毒でも作り出し、吐き出して攻撃するサーペンス。 二人はまさに最強のコンビなのだ。
サーペンス「うるせえ! テメーに命令される覚えはねえよ!!」 …あれ? オフューカス「ああん? テメーのアタマじゃ、せいぜい火傷程度の毒しか作れないだろうが?」 あれれ。 サーペンス「キサマはすぐそうやって自慢を始めるな! あくまで毒を撃つのは俺だ!」 ちょっと君たち。 オフューカス「はん! 俺様の指揮がなくてその毒を扱えるのかなあ?」 サーペンス「そもそもキサマ一人じゃ毒を作ることもできないだろうが!」 オフューカス「この作戦を考えたのが俺様だということを忘れているようだな、このにょろにょろ野郎!」 サーペンス「はい出たインテリ気取り。 そのぐらい俺にでも考え付くわい!」 前言撤回。 最悪のコンビでした。
と、大人げない言い争いをしていたところで、なにかに気付いた二人。 上を見上げると… サーペンス「岩ーッ!?!?」 オフューカス「てめ、俺様の盾になれ! って、うぎゃあああ!!!」 二人仲良く、落ちてきた大きな岩の下敷きに。 キャンサー「どーだー! まいったかー!」 キャンサーが崖の上から二人の頭上に岩を落としたらしい。 言い争いに夢中だった医者と蛇は、相手が崖を登っていたことに気付かなかったようだ。 オフューカス「ば、ばたんきゅ~。」
キャンサー「…あの、今度こそ、本当の会場の方向を教えてほしいんですけど…。」 オフューカス「あ、あの方向、だ…。」 ばたり。 力尽きたようだ。 キャンサー「…なんか、ごめんなさい…。…ありがとうございます。」 自分をだまして襲い掛かってきた相手でも、謝罪と感謝は忘れない。 二人も見習うべきだ。
その日の夜。 ルーパス「いやー! なんとか日が沈む直前にゴールできたよー。ひやひやした。」 フェニックス「俺とキャンサーはかなり余裕を持って帰ってきたがな。」 ルーパス「んな! …早くも後れを取ってしまった。」
キャンサー「…やっぱり私たち、3人そろって行動した方がいいと思う…。」 晩御飯のシチューを食べる中、 キャンサーの唐突な発言に二人も少し驚く。 キャンサー「…みんながいてくれてたら、怪しい人に騙されずに済んでたかも…。」 ルーパス「僕も! 岩の隙間に挟まって時間とっちゃってさー。思わず二人の名前を叫んじゃった。」 フェニックス「いつもはお前らが先陣を切ってくれるが、今日は一人だから火を使いすぎて疲れた。」 キャンサー「…次、こういう競技があったら、きっといっしょに行動しよう…?」 ルーパス「そうだね。僕らはベストコンビネーションだもの!」 フェニックス「別に俺はお前らと組むのがベストとも思わんが。」 キャンサー(あの二人に比べたら…とっても抜群の相性だよ…。)
次の日。 再びコロシアムに集合した参加者たち。 キャンサー「…今日は何をするんだろう?」 ざわつく参加者たち。 すると突然、空から雷が! ルーパス「うわああ!?」 落雷地点に燃え盛る炎。 火が掻き消え、その中から登場したのは… ヴァルゴ「どもどもー! 大会実行委員のヴァルゴでーす☆」
それでは早速、とルール説明。
《第二試験 氷鏡の回廊》 参加者は4グループに分かれ、グループごとに「回廊」の中へ入ってもらう。 その回廊からできるだけ早く脱出すること。 グループ全員が脱出したところでゴールとみなす。 回廊には魔法の仕掛けが施されている。心して挑むこと。 なお、回廊内は火気厳禁。天井が落ちてくる危険あり。
ヴァルゴ「以上! それでは皆さん、グループ分けしてくださいな。」 ぞろぞろと参加者たちが動き出し4つの塊ができる。 ルーパス「ようし! 力を合わせて頑張るぞー!」 キャンサー「おー!」 フェニックス「お前ら当然のごとく同じグループに入るんだな。」 アラ「そういうキミだって、真っ先にあの二人についていったじゃあないか?」 フェニックス「げ、お前もいるのか…勘弁してくれ。」 アラ「どのグループに入ろうが僕の自由さ、ふふん♪」 キャンサー「…アラちゃんも、一緒にがんばろうね。」 アラ「おー♪」 フェニックス「…やれやれ。」 |