Story 18

 

ヴァルゴ「グループ分けはすんだかー!? それではー…。」

パチン。

ヴァルゴが指を鳴らすと、コロシアム中に白いもやがかかる。

もやが晴れ、現れたのは4つの巨大な氷の塊。

フェニックス「あれが回廊とやらか…。」

ヴァルゴ「それでは! よーい、ドン!」

 

キャンサー、ルーパス、フェニックスを含めた10名のグループが、

「氷鏡の回廊」へと足を踏み入れる。

メンバーはアラのほかに、

羽をはやしパタパタ飛んでいる者から、

なんだかよく分からない道具のような姿をしたものまで、多彩だ。

 

キャンサー「さ、寒い…。」

ルーパス「床も壁も全部氷でできているみたいだね。…んぎゃ!」

先陣を切るルーパスは、突然何かにはたかれたようにばったりとひっくり返る。

キャンサー「だ、大丈夫…!?」

ルーパス「う、うーん、見えない壁に、ぶつかったぁ~。」

頭の周りを星が回ってる。

フェニックス「見えない壁…? 何のことだ。」

アラ「あれをご覧よ。」

アラが指したのは氷の壁。

キャンサー「…? なんとなく違和感…。」

アラ「気づかないかい? この壁、周りの壁は映っているが、僕らの姿は反射していないんだ。」

フェニックス「成程、言われてみれば…。」

アラ「そこでおおかみ君が『壁にぶつかった』というところを見てみようすると…。」

ルーパス「あ! 鏡の中だけに大きな氷があるよ!」

アラ「そう! この回廊の壁や床は魔法の鏡。ホンモノの像を見極めることが出来るかが勝負のカギだ!」

お決まりの決めポーズ。

 

仕掛けを見抜いた彼らは、互いに周りを注意しながら進んでいく。

キャンサー「す、滑る…きゃっ!」

???「…。」

キャンサー「…足冷た…おっとっと!」

???「オイ小娘ェ!」

キャンサー「ぴっ!?」

???「いちいち驚いてんじゃねェよ!」

そりゃあこんなゴテゴテの鱗と角に尻尾、翼まで生やしたイカつい龍人に怒鳴られれば、誰だって驚く。

キャンサー「…は、はぃ…。そ、それで、えっと、ご用件は…。」

???「そこ透明のトゲがあるぞ。気ィつけな。」

キャンサー「え? …あ、ああ、はい、ありがとうございます。…助かりました。」

???「ったく、見てらんねェぜ。こっちがひやひやする!」

キャンサー「…ご、ごめんなさい。私、キャンサー、って言います。…あなたは…?」

???「ああ? 俺の名前なんか知ってどうする?」

キャンサー「…私、普段、人と会うことが少なくて…その、友達になれないかなー、って…。」

???「…なんだお前。…ドラコだ。忘れろ。友達なんぞ興味ない。」

さっさと先へ行ってしまった。

キャンサー(ドラコさん…あんなこと言いながら、ふふふ…。)

キャンサー「あいた!」ゴチン

よそ見は危ない。

 

なんだかんだで全員揃ってゴール。

キャンサーのグループは2等とそこそこ健闘。

ルーパス「あしたもがんばるぞー!」

キャンサー「おー!」

気合十分で就寝。

 

カプリコーン「…それで、どうだった? 『ふさわしい魂を持つ者』とやらは。やはり蛇遣い座か?」

アラ「ん? アイツ? あははないない! …でも、」

くるっとターン in 実行委員会室。

アラ「気になるコならいたよ。」

カプリコーン「ほうそうか。で、いったい誰だ?」

カプリコーンは参加者名簿を取り出す。

アラ「あれは今までに見たことのないタイプだ。実に珍妙な魂だね。」

カプリコーン「もったいぶるんじゃない、早く言え。」

アラ「ところでキミはその名簿にじっくりと目を通したことはあるかい?」

カプリコーン「…? 何の話だ? …忙しくて人数ぐらいしか確認していないな。」

アラ「…『蟹座』。」

カプリコーン「…!?」

眼の色が変わった。

 

名前はすぐに見つかった。

カプリコーン「これが…キミが目を付けた者かい?」

アラ「ふふ、もうちょっとだけ観察させて頂くよ。彼女は本当に興味深いんだ。」

そう言いながら、よだれを垂らして机に突っ伏している金髪な黒牛の横を通り、

部屋からすうっと出て行った。

 

カプリコーン「蟹座の…キャンサー…。」

名簿に書かれた称号と名前を見つめる。

カプリコーン「キミは…何か隠しているね、…スコーピオ。」

 

次の日。

タウラス「集まったな! 早速始めるぞ!!」

カプリコーン「タウラス、まずはルール説明だ。」

タウラス「いっけね! つい突っ走っちまったぜ。」

 

《第三試験 決闘》

コロシアム上の特設フィールド上で一対一の決闘を行う。

降参、気絶、場外へ出ると負け。もう一方が勝ちとなる。

危険と判断された場合、対戦を止める場合がある。

対戦相手はくじ引きで決定され、一人につき3試合行う。

 

ルーパス「キター! たぎる。」

フェニックス「そもそもこんな競技ばっかりで能力なんて図れるものなのか…?」

アラ「はーい、ガキンチョどもは細かいこと気にしない!」

キャンサー「…がんばる!」

 

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