Story 29

 

 

時間は少しだけ遡る。

王宮の地下、金庫の奥へと進む二人を見送ったフェニックス。

近くにマントムの気配がないことを確認した後、何か考え込みだした。

 

???「やーあやあ、こんなところで何をしているんだい?」

突然誰かが馴れ馴れしく声を掛けてきた。

フェニックスは顔を上げる。

フェニックス「この声は、…やっぱりお前か、キャメロ。」

???「ふふっ、キャメロパルダリス、とフルで呼んでほしいなあ、フェニくん。」

キリン座のキャメロパルダリスは、ふっ、と髪をかき上げる。

フェニックス「ふん、知るか。」

キャメロパルダリス「何故お前がここにいるんだ、とは聞かないのかい?」

フェニックス「…はぁ、何故お前がここにいるんだ。」

キャメロパルダリス「ははっ、よくぞ聞いてくれたね。」

フェニックス「答えるなら早く答えろ。」

また髪をかき上げて、

キャメロパルダリス「作戦、さ。ケロくんとペガスくんと一緒にね。」

王宮を襲撃している二体のロボット、モノケロスとペガススのことだ。

フェニックス「…また妙な呼び名だな。」

にやにやするキャメロ。

キャメロパルダリス「…気にならないのかい?」

フェニックス「…何の話だ。」

キャメロパルダリス「何故キミには作戦も何も知らされていないのか、とか?」

フェニックス「…。」

キャメロパルダリス「あっはっは、もしかしてマスターに存在を忘れられていたりして」

フェニックス「…黙れ…!」

キャメロパルダリス「あっはぁ、冗談さ、そう熱くなるなよぉ。」

フェニックス「…俺にはキャンサーとルーパスを監視する任務があった。お前らと接触するヒマなどなかった。」

キャメロパルダリス「そうそう、だから僕が君にマスターからの依頼を伝えに来たってワケ、さ。」

フェニックス「…。最初からそう言え。」

キャメロパルダリス「そんな目で睨むなよなぁ?」

不機嫌な様子のフェニックスを上機嫌に眺めるキャメロパルダリス。

フェニックス「さっさと用件だけ伝えろ、キャメロ。」

キャメロパルダリス「だーかーらぁ、キャメロパルダリスだってば、フェーくん?」

フェニックス「てめえ…。」

キャメロパルダリス「ははっ、それで任務の内容だけれど、―」

 

金庫の奥を目指すフェニックスは葛藤していた。

任務を遂行すべきか、否か。

そして決断したのだった。

フェニックス「…悪く思うなよ。」

 

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