二人は滝口に到着。 崖は険しくいつ崩れるかわからない危険な岩場。 水が削って滑らかになった部分を通るしかない。 つまり水に流されるように滝を降りて行くことになる。
キャンサーはさっそく水に足を踏み入れるが、 キャンサー「きゃ、冷たい。」 森から流れてくる水は雪が融けたもので、冷たい。 が、 ルーパス「ひゃっほーい!これぞ天然のウォータースライダー!楽しーい!」 寒さに強いルーパスにとっては遊び感覚。 キャンサー「わわわ、まってよー!」 置いて行かれまいと続けて滑り降りる。
岩場を滑り降り、滝つぼにダイブ。 幾度も繰り返すうちにキャンサーも水の冷たさに慣れ、笑顔が見え始めたところで、 ???「…ごきげんだな、二人とも。」 赤い髪に燃えるような翼、白いマフラーを巻いてポケットに手を突っ込んだ少年の姿が。 キャンサー「あ。フェニックスくん…こんにちは。」
ルーパス「やっほー!フェニックス君!待った?」 フェニックス「やっほー、じゃない、全く。」 少しご機嫌斜めな模様。 それもそのはず。 フェニックス「ルーパス、待ち合わせの時間は何時だ?」 ルーパス「…あー、えーっと、…テヘヘ」 フェニックス「テヘヘじゃねえ!こんな水しぶきの凄まじい所でどれだけ待たせるつもりだお前は!」 ルーパス「うわわー!ごめんなさいごめんなさい。キャンサーちゃんとのお話がはずんじゃって…。」 フェニックス「ふーん。」 キャンサーを見やるフェニックス。 キャンサー「…ごめん、突然押し掛けた私が悪いの…。あ、でも待ち合わせ場所は…その…。」 ルーパス「僕の家からすぐに行けるところがいいかなー、って。」 フェニックス「て、てめえ…。」 ルーパス「キャンサーちゃんも楽しんでくれたみたいだし! ね?」 キャンサー「…それはそうだけど…、…フェニックスくんはちっとも楽しくないと思う。」 フェニックス「……。」ギロリ ルーパス「……あ、…以後気を付けます、ハイ。」
しばしルーパスの反省タイム。 そして3人はこの後の計画について話し合う。 キャンサー「…まずはおひるごはんにしよう! …あ、おにぎりもう食べちゃった。」 フェニックス「俺も食べてきたし、ルーパスもたぶん大丈夫だろう。少し休憩してから会場へ向かうか。」 ルーパス「たぶんって! …まあ、空腹に耐えるのも修行の一環か…うん。」 先ほどのこともあって文句の言えないルーパス。 キャンサー「…ところで会場はここからどれくらいかかるのかな?」 ルーパス「急げば日が落ちるころには着くかなー、ってカンジだね。」 キャンサー「…じゃあ、ゆっくりはしていられないね。」 フェニックス「まあ、まずは会場の方角を確認すべきだな。ここからでも俺の目で見えるだろう。」 そう言うとフェニックスは羽をはばたかせ上昇。 周囲は岩壁に囲まれているので、十数メートルはあろうかという崖のてっぺんへ向かう。 ルーパス「あーまって僕も登る!」 キャンサー「…あ、お、おいてかないで~。」
先を行くフェニックスは崖のくぼみに人影を見つけた。 その意外な顔に思わず声を漏らす。 フェニックス「…い、一体何故ここに…!?」 遅れて登ってきた二人もひょっこり顔を出す。 キャンサー「あ。……え?」 ルーパス「うわーあ、このタイミングで…、最悪だね。」 3人がそこで出会ったのは、 キャンサー「…お兄…ちゃん……。」 天蠍宮のスコーピオ、 あれほど家を出るなと妹に念を押していた、キャンサーの兄であった。 |