スコーピオ「一体…、お前たちの目的はなんだ!?」 瓦礫の山でサーベラスと対峙するスコーピオ。 最後の力を振り絞り、なんとか立っている状態だ。 スコーピオ「…やはり、復讐のため、なのか…?」 サーベラス「いかにも、お前たちへの復讐だよ。」 スコーピオ「…そのためにキャンサーをあんな姿にしたというのか!?」 街では巨大ガニと怪物との戦いが続いている。 サーベラス「あれは我々の仕業ではない。小娘自身の意思ではないのか?」 スコーピオ「そんな…あいつにあそこまでの力が…? あの姿はまるで…。」 サーベラス「お陰で手を焼いているよ。うちのケトゥスを呼ぶ羽目になった。」 ケトゥスとは鯨座の称号をもつ巨大な怪物。 今まさに巨大ガニと取っ組み合いをしているやつだ。 ペガススの瞬間移動能力であの巨体を連れて来たのであろう。
と、瞬時にスコーピオの背後へ回るサーベラス。 後ろから何かを押し付けた。 スコーピオ「グハッ!これはっ…!?」 サーベラスが持っているのは王宮から奪われた秘宝だ。 サーベラス「エーテルストーンと言ってな…私の計画に欠かせないものだ。」 極彩色の光を放つ秘宝。 秘宝から放たれた無数の光の触手がスコーピオに伸びる。 スコーピオは力を奪われ、その場に崩れ落ちてしまった。 サーベラス「ククク、これで11人分が揃ったな。」 サーベラスは満足そうに踵をかえす。 がし、とスコーピオはマントの裾をつかんだ。 スコーピオ「頼む…あいつには、キャンサーにだけは、手を出さないでくれ…。」 いともたやすく振りほどかれる。 サーベラス「それはできんな…あれはお前たちの『形見』なのだろう?」 スコーピオ「…ッ!!」 サーベラスは高笑いを残して踵を返す。 スコーピオ「…すま…ない…、…。」
意気揚々と飛び立つサーベラス。 巨大ガニの背後へ浮遊して近づいていく。 サーベラス「やつを抑え込め、ケトゥス。」 テレパシーで伝える。 ケトゥスは雄たけびを上げ、巨大ガニに覆いかぶさり自由を奪う! サーベラスはついに巨大ガニの元へ到達。 背中に降り立ち、再び秘宝を取り出す。 サーベラス「久しぶりだな、巨蟹宮の小娘よ。まさか仕留め損なっていたとはな。」 光の触手が甲羅へと伸び、次々と接続される。 巨大ガニは苦しみだした。 秘宝による力の吸収が始まったのだ。 サーベラス「あの蟹の小娘の一部となって生き長らえていたとは思わなかった。しかし、」 赤い瞳がギラリと笑う。 サーベラス「正体を現したのは悪手だったな。お陰でキサマの力が手に入った。」 巨大ガニはみるみる縮んでいく。 サーベラスは上機嫌で続ける。 サーベラス「貴様たちは私からすべてを奪った。今度はお前たちがすべてを失う番だ。」
巨大ガニは最後の抵抗を試みた。 どかん。どどん。どどどどどん。 巨大ガニが突如爆発! サーベラスとケトゥスは爆風に吹き飛ばされる。 ケトゥスはひっくり返ってしまい、起き上がろうともがくも上手くいかない。 サーベラス「最後の悪あがきか。しかしもう十分に力は頂いた。」 煙が掻き消えるとそこに巨大ガニの姿はない。 しかし、 サーベラス「さしずめ宿主を逃がす作戦のようだが…時間の問題だな。」 サーベラスは再びテレパシーを使い、とあるコンビに指示を飛ばす。 サーベラス「蟹の小娘を捕まえろ。私の元へ連れてくるのだ。」
ずどーん ぼかーん すさまじい轟音で目を覚ますキャンサー。 キャンサー「んーむにゃにゃ、…あさ…?」 寝ぼけ眼をこすって飛び込んできた光景にびっくり。 建物が崩壊し瓦礫の山と化した街。 空中に浮かんでいるはずの大宮殿も墜落してボロボロだ。 キャンサー「いつのまにこんなことに!?」 瓦礫を押しのけ、あたりを見回す。 キャンサー「私どうしたんだっけ、…確か頭の声がすごくうるさくて、それで気絶して…、ん?」 何か違和感に気づくキャンサー。 なにかおかしい。なんだこの違和感は。 なんだか頭が軽いような… 頭が、軽い? 頭の甲羅に手を伸ばしてみると…。 キャンサー「あれ…? 甲羅が…ちっちゃい…!?」 そう、キャンサーの頭の立派なカニが、なんとミニサイズの小ガニに。 キャンサー「そ、そんな~…!!」 |