Story 36

 

スコーピオ「一体…、お前たちの目的はなんだ!?」

瓦礫の山でサーベラスと対峙するスコーピオ。

最後の力を振り絞り、なんとか立っている状態だ。

スコーピオ「…やはり、復讐のため、なのか…?」

サーベラス「いかにも、お前たちへの復讐だよ。」

スコーピオ「…そのためにキャンサーをあんな姿にしたというのか!?」

街では巨大ガニと怪物との戦いが続いている。

サーベラス「あれは我々の仕業ではない。小娘自身の意思ではないのか?」

スコーピオ「そんな…あいつにあそこまでの力が…? あの姿はまるで…。」

サーベラス「お陰で手を焼いているよ。うちのケトゥスを呼ぶ羽目になった。」

ケトゥスとは鯨座の称号をもつ巨大な怪物。

今まさに巨大ガニと取っ組み合いをしているやつだ。

ペガススの瞬間移動能力であの巨体を連れて来たのであろう。

 

と、瞬時にスコーピオの背後へ回るサーベラス。

後ろから何かを押し付けた。

スコーピオ「グハッ!これはっ…!?」

サーベラスが持っているのは王宮から奪われた秘宝だ。

サーベラス「エーテルストーンと言ってな…私の計画に欠かせないものだ。」

極彩色の光を放つ秘宝。

秘宝から放たれた無数の光の触手がスコーピオに伸びる。

スコーピオは力を奪われ、その場に崩れ落ちてしまった。

サーベラス「ククク、これで11人分が揃ったな。」

サーベラスは満足そうに踵をかえす。

がし、とスコーピオはマントの裾をつかんだ。

スコーピオ「頼む…あいつには、キャンサーにだけは、手を出さないでくれ…。」

いともたやすく振りほどかれる。

サーベラス「それはできんな…あれはお前たちの『形見』なのだろう?」

スコーピオ「…ッ!!」

サーベラスは高笑いを残して踵を返す。

スコーピオ「…すま…ない…、…。」

 

意気揚々と飛び立つサーベラス。

巨大ガニの背後へ浮遊して近づいていく。

サーベラス「やつを抑え込め、ケトゥス。」

テレパシーで伝える。

ケトゥスは雄たけびを上げ、巨大ガニに覆いかぶさり自由を奪う!

サーベラスはついに巨大ガニの元へ到達。

背中に降り立ち、再び秘宝を取り出す。

サーベラス「久しぶりだな、巨蟹宮の小娘よ。まさか仕留め損なっていたとはな。」

光の触手が甲羅へと伸び、次々と接続される。

巨大ガニは苦しみだした。

秘宝による力の吸収が始まったのだ。

サーベラス「あの蟹の小娘の一部となって生き長らえていたとは思わなかった。しかし、」

赤い瞳がギラリと笑う。

サーベラス「正体を現したのは悪手だったな。お陰でキサマの力が手に入った。」

巨大ガニはみるみる縮んでいく。

サーベラスは上機嫌で続ける。

サーベラス「貴様たちは私からすべてを奪った。今度はお前たちがすべてを失う番だ。」

 

巨大ガニは最後の抵抗を試みた。

どかん。どどん。どどどどどん。

巨大ガニが突如爆発!

サーベラスとケトゥスは爆風に吹き飛ばされる。

ケトゥスはひっくり返ってしまい、起き上がろうともがくも上手くいかない。

サーベラス「最後の悪あがきか。しかしもう十分に力は頂いた。」

煙が掻き消えるとそこに巨大ガニの姿はない。

しかし、

サーベラス「さしずめ宿主を逃がす作戦のようだが…時間の問題だな。」

サーベラスは再びテレパシーを使い、とあるコンビに指示を飛ばす。

サーベラス「蟹の小娘を捕まえろ。私の元へ連れてくるのだ。」

 

ずどーん ぼかーん

すさまじい轟音で目を覚ますキャンサー。

キャンサー「んーむにゃにゃ、…あさ…?」

寝ぼけ眼をこすって飛び込んできた光景にびっくり。

建物が崩壊し瓦礫の山と化した街。

空中に浮かんでいるはずの大宮殿も墜落してボロボロだ。

キャンサー「いつのまにこんなことに!?」

瓦礫を押しのけ、あたりを見回す。

キャンサー「私どうしたんだっけ、…確か頭の声がすごくうるさくて、それで気絶して…、ん?」

何か違和感に気づくキャンサー。

なにかおかしい。なんだこの違和感は。

なんだか頭が軽いような…

頭が、軽い?

頭の甲羅に手を伸ばしてみると…。

キャンサー「あれ…? 甲羅が…ちっちゃい…!?」

そう、キャンサーの頭の立派なカニが、なんとミニサイズの小ガニに。

キャンサー「そ、そんな~…!!」

 

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